実務の現場で実際によく起きる判断をもとに整理しています。
自治体ホームページが更新されなくなる本当の理由
「CMS導入で更新しやすくなったはずなのに、気づけば3ヶ月前の情報のまま…」
「リニューアルしたばかりなのに、もう更新が滞っている」
そんな悩みを抱える自治体は少なくありません。 実は、ホームページが更新されない「本当の理由」は、担当職員のやる気や能力の問題ではありません。
「更新を続けられる運用の仕組み」がないことが根本原因です。
たとえば:
- 各部署に権限を渡しても、何を更新すべきか基準がない
- CMS操作マニュアルはあるが、運用ルールがない
- 全体を統括するWebマスターがいない
本記事では、自治体ホームページが更新されなくなる「本当の理由」をわかりやすく解説します。
目次
自治体のホームページは「システム導入すれば更新される」は本当か?
多くの自治体が、ホームページが更新されない問題の解決策として「CMS(コンテンツ管理システム)導入」を選びます。
業者からは「CMSを導入すれば、職員の方が簡単に更新できるようになります」と説明され、数百万円以上の予算をかけてシステムをリニューアルします。
しかし、現実はどうでしょうか?
自治体ホームページのリニューアル後に起きる変化
| 経過時期 | よくある状態 |
|---|---|
| 直後〜1ヶ月 | 「新しいシステムだから」と各部署が意欲的に更新 |
| 3ヶ月後 | 日常業務に追われ、更新頻度が低下し始める |
| 6ヶ月後 | 一部の部署のみ更新、他部署は「誰も見ていない」と放置 |
| 1年後 | 担当者の異動で更新方法がわからなくなり、ほぼ停止 |
実際、アライド・ブレインズの調査によると、リニューアルを実施した自治体の81.5%が品質向上を実現できていないという結果が出ています。
なぜ自治体ホームページはシステム導入だけでは更新されないのか?
理由は明確です。CMSは「操作を簡単にするツール」であって、「更新を継続させる仕組み」ではないからです。
| CMSができること | CMSではできないこと |
|---|---|
| 専門知識なしで操作可能にする | 「何を更新すべきか」を教える |
| 更新作業の時間を短縮する | 「いつ更新すべきか」を決める |
| 複数の職員が更新できるようにする | 「なぜ更新すべきか」を共有する |
| デザインを統一する | 部署間の温度差をなくす |
結論:CMSは「できる」ようにするだけで、「やる」ようにはしてくれません。
つまり、システムを入れても、「運用の仕組み」がなければ更新は続かないのです。それでは、なぜシステム導入だけでは解決しないのか、その根本原因を詳しく見ていきましょう。
そもそも「CMS」とは?自治体ホームページ更新の基礎知識
「CMS」という言葉が初めての方のために、まず基本から説明します。
CMS(コンテンツ管理システム)とは?
CMSとは、ホームページの専門知識がなくても、簡単に情報を更新できるシステムのことです。
| 従来の方法(CMS導入前) | CMSを使う方法(導入後) |
|---|---|
| 専門業者に依頼して更新 | 職員自身がパソコンから直接更新 |
| HTMLなどの専門知識が必要 | ワードのような感覚で操作可能 |
| 更新に数日〜数週間かかる | 数分〜数十分で更新完了 |
| 費用:1回数万円〜 | 費用:0円(自分で更新) |
自治体ホームページにCMSを導入すると何ができる?
- お知らせを職員で投稿できる
- イベント情報をすぐに掲載できる
- 写真を簡単にアップロードできる
- 古い情報を自分で削除・修正できる
ここが重要:CMSは確かに便利なシステムです。しかし、この「便利なツール」を入れただけでは、更新は続きません。
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自治体ホームページが更新されない3つの本当の理由

自治体ホームページが更新されない「本当の理由」を一言で言うなら、「更新を続けられる運用の仕組みがない」ことです。
どんなに高性能なシステムを導入しても、どんなに美しいデザインのサイトでも、「運用体制」がなければ、更新には至りません。
なぜ自治体ホームページの運用体制が整わないのか:それは、以下の3つの構造的な問題が複合的に起きているためです。
| 本当の理由 | 職員の心理 | 結果 |
|---|---|---|
| ①権限分散による温度差 | 「なぜ更新すべきかわからない」 | 部署間でバラバラ |
| ②運用ルールの不在 | 「何をいつ更新すればいいか迷う」 | 判断できず放置 |
| ③Webマスター不在 | 「誰も全体を見ていない」 | 誰も責任を持たない |
これら3つは独立した問題ではなく、すべて「運用設計の不足」という一点に集約されます。
それでは、各理由を詳しく見ていきましょう。
【理由①】自治体ホームページ更新の権限が分散して「温度差」が生まれる
CMS導入の最大の目的は、各部署が自分たちで情報を更新できるようにすることでした。
しかし、この「各部署に権限を渡す」ことが、実は自治体ホームページが更新されない第一の原因になっています。
自治体ホームページで権限分散により起きる問題
| 部署 | 更新状況 | 理由 |
|---|---|---|
| 防災部門 | 週1回更新 | 「命に関わる」という意識が高い |
| 福祉部門 | 半年間放置 | 「窓口で説明すればいい」 |
| イベント担当 | 積極的に更新 | 「集客したい」という目的が明確 |
| 手続き案内 | 古いまま | 「制度が変わってないから」と放置 |
なぜ自治体ホームページで温度差が生まれるのか
各部署に更新の権限は渡されましたが、こんなことが共有されていません:
- 「なぜ更新しなければいけないのか」
- 「どんな情報を掲載すべきなのか」
- 「いつまでに掲載しなければいけないのか」
つまり、権限だけ渡されて、ルールや目的が共有されていない状態なのです。
これは、サッカーで例えると「ボールは渡したけど、ルールもゴールの位置も教えていない」ようなものです。
結論:自治体ホームページは、各部署に権限を渡しただけでは更新されません。「なぜ・何を・いつ」を共有する必要があります。
【理由②】自治体ホームページ更新の「運用ルール」がない
CMS導入時に、多くの自治体が受け取るのは「操作マニュアル」です。
自治体ホームページの操作マニュアルには何が書いてある:
- ログインの方法
- 記事を投稿する手順
- 写真をアップロードする方法
確かに、これがあれば「技術的には」更新できます。 でも、最も重要な「運用ルール」が整備されていないケースがほとんどです。
自治体ホームページの「操作マニュアル」と「運用ルール」の違い
| マニュアルの種類 | 答えてくれる質問 | 更新が続くか |
|---|---|---|
| 操作マニュアル | 「どうやって更新するか」 | × 操作はできるが続かない |
| 運用ルール | 「何を・いつ・なぜ更新するか」 | ◎ 判断基準があるので続く |
自治体ホームページに運用ルールがないと起きる問題:実際に、多くの担当者がこんな悩みを抱えています。
- 「このイベント情報、掲載すべきかな…」→ 迷って結局掲載しない
- 「いつまでに掲載すればいいかわからない」→ 後回しにして忘れる
- 「間違った情報を載せたら怖い」→ 確認に時間がかかり、そのまま放置
これは、CMSの問題ではなく「使い方のルール」がないことが問題なのです。
どんなに操作が簡単になっても、「何をすればいいか」がわからなければ、手は動きません。
結論:自治体ホームページは、操作マニュアルだけでは更新されません。「何を・いつ・どう更新するか」の運用ルールが必要です。
【理由③】自治体ホームページ更新を統括する「Webマスター」がいない
CMS導入で各部署が更新できるようになりました。 しかし、ここで自治体ホームページに重大な問題が発生します。
誰も全体を見ていないことです。
自治体ホームページ全体を管理し、指示・調整できる担当者がいないのです。
自治体ホームページにWebマスターがいないと何が起きるか:
| 起きる問題 | 具体例 |
|---|---|
| 情報の重複 | 同じイベント情報が3つの部署から別々に掲載される |
| リンク切れの放置 | ページ同士のリンクが切れているのに誰も気づかない |
| 古い情報の放置 | 「去年のお知らせ」がそのまま残っている |
| デザインがバラバラ | 部署ごとに見た目が違う |
| 更新方法の断絶 | 担当者が異動したら、誰も更新方法がわからなくなる |
自治体ホームページの「システム担当」と「Webマスター」は別の役割:
多くの自治体で誤解されているのが、この2つの役割の違いです。
| 役割 | 主な仕事 | 必要なスキル |
|---|---|---|
| システム担当 | サーバーの管理、技術的なトラブル対応 | IT技術の知識 |
| Webマスター | 全部署の情報を統括、更新指示、品質チェック | 調整力・管理能力 |
システム担当がいても、Webマスターがいなければ自治体ホームページの運用は回りません。 技術者に「各部署が更新しているか見ておいてください」と頼んでも、それは本来の仕事ではないのです。
結論:自治体ホームページは、全体を統括するWebマスターがいないと、更新が止まります。
まとめ|自治体ホームページが更新されなくなる本当の理由は「運用の設計不足」
自治体ホームページが更新されなくなる原因は、 CMSの性能や担当職員の努力不足ではありません。
本当の理由は、更新を前提にした運用の設計がなされていないことにあります。
どれだけ操作しやすいシステムを導入しても、 更新の役割分担や判断基準、全体を見渡す体制がなければ、 ホームページは次第に使われなくなっていきます。これは個々の担当者の問題ではなく、 組織としての運用設計の問題です。
もし、
- CMSは導入したが、更新が定着していない
- 部署ごとに更新状況にばらつきがある
- 担当者異動のたびに運用が止まってしまう
といった課題を感じている場合は、 一度、システムではなく運用の仕組みそのものを見直す必要があります。
弊社では、自治体ホームページの現状を整理したうえで、 無理のない運用体制づくりや役割設計、改善ポイントの洗い出しを行っています。「何から手をつければいいかわからない」 「今の体制で問題ないのか確認したい」といった段階でも構いません。
ご相談がありましたら、お気軽に弊社までお問い合わせください。
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実務レベルでどう整理すべきかの相談もお受けしています。