実務の現場で実際によく起きる判断をもとに整理しています。
製造業はホームページをリニューアルするべき?問い合わせを増やすWeb戦略とは?
「ホームページはあるのに、問い合わせがほとんど来ない」
「サイトを作ってから5年以上、ほとんど手を入れていない」
「リニューアルしたほうがいいと言われるが、必要なのか判断できない」
製造業の経営者やWeb担当者の方から、こうしたご相談をいただくことが増えています。
ただ、安心してください。問い合わせが来ない原因は、技術力や製品の質ではありません。多くの場合、ホームページが「会社案内」のまま止まっていて、発注を検討している人が知りたい情報にたどり着けない設計になっていることが原因です。
この記事では、製造業のホームページをリニューアルすべきかどうかの判断基準から、よくある失敗、問い合わせを増やすWeb戦略、費用や進め方までを、Webの専門知識がない方にもわかるように解説します。
読み終える頃には、「自社はリニューアルすべきなのか」「まず何から手をつければいいのか」がはっきり見えてくるはずです。
目次
製造業のホームページリニューアルは「必要な会社」と「不要な会社」がある
「リニューアルするべきか?」の答えは、実はすべての会社で同じではありません。まずは自社がどのタイプに当てはまるかを見極めるところから始めましょう。
| タイプ | 今の状態 | 取るべき打ち手 |
|---|---|---|
| A:リニューアル不要 | 検索からの流入はあるが、問い合わせだけが少ない | フォーム改善・CTA追加などの部分改善 |
| B:部分改修で足りる | 情報や写真が古いだけで、構造に問題はない | 情報更新・ページ追加・写真の差し替え |
| C:全面リニューアルすべき | スマホ非対応、自社で更新できない、検索で見つけてもらえていない、構造が破綻している | 設計からの作り直し |
ポイントは、「古くなったから作り直す」ではなく、「何が成果を止めているのか」から逆算して決めることです。
アクセスはあるのに問い合わせがない会社が全面リニューアルをしても、原因が導線にあるなら結果はほとんど変わりません。逆に、そもそも検索で見つけてもらえていない会社がフォームだけを直しても、訪問者が増えないので意味がありません。
今どこで止まっているのかを切り分ける。これが、リニューアル判断の出発点です。
製造業のホームページリニューアルが必要と言われる4つの背景
そもそも、なぜ今これほど製造業でホームページリニューアルの話が増えているのでしょうか。背景には、発注する側の行動の変化があります。
| 背景 | 何が変わったか |
|---|---|
| ①発注先探しのオンライン化 | 問い合わせ前に検索で候補を絞るようになった |
| ②サイトが最初の接点に | 営業担当より先にホームページが見られている |
| ③求められる基準の上昇 | スマホ対応・表示速度・安全性が当たり前になった |
| ④紹介ルートの細り | 取引先の縮小・世代交代で新規が減っている |
背景①|発注先探しがオンライン中心に変わった
以前は、展示会や既存取引先からの紹介、業界名鑑などが仕事の主な入口でした。今は、発注担当者が問い合わせをする前に、検索でおおよその候補を絞り込みます。
加工方法や材質、対応エリアで検索し、複数社のサイトを見比べてから連絡する。この流れが当たり前になりました。つまり、検索で見つからない会社は、比較の土俵にすら上がれないということです。
背景②|ホームページが「最初の営業窓口」になっている
問い合わせが来た時点で、相手はすでにサイトを一通り見終えています。何ができる会社なのか、どんな設備があるのか、実績はあるのか。ここが伝わっていなければ、そもそも連絡が来ません。
ホームページは会社案内ではなく、24時間動き続ける営業担当だと考えると、持たせるべき役割がはっきりします。
背景③|スマホ対応・表示速度・セキュリティの基準が上がった
数年前に作ったサイトでも、今の基準では「見づらい」「遅い」「安全性が低い」と判断されることがあります。特に、スマートフォンで表示が崩れるサイトは、内容を読まれる前に離脱されます。
また、常時SSL(アドレスがhttpsで始まる状態)に対応していないサイトは、ブラウザ側に警告が表示されることもあります。
背景④|紹介・展示会だけでは新規が細っていく
長年の取引先の縮小や廃業、担当者の世代交代によって、紹介ルートは少しずつ細くなっていきます。新しく取引を始めたい相手が、まず検索で会社を調べる世代に変わってきているためです。
紹介を大切にしながら、Webからの新規問い合わせという「もう一本の柱」を持っておくこと。これが、これからの製造業に必要な考え方です。
製造業がホームページをリニューアルするべきか判断する5つの基準
ここからは具体的な判断基準です。次の5項目のうち、自社にいくつ当てはまるかをチェックしてみてください。
| 判断基準 | 当てはまる状態 |
|---|---|
| ①スマホ対応・表示速度 | スマホだと文字が小さい、表示に時間がかかる |
| ②更新のしやすさ | お知らせ1本出すのに制作会社への依頼が必要 |
| ③検索からの流入 | 社名以外のキーワードで見つけてもらえていない |
| ④情報の中身 | 設備・技術・実績のページがない、または内容が薄い |
| ⑤問い合わせ導線 | 問い合わせフォーム以外の入口がない |
当てはまる数のおおよその目安は次のとおりです。
- 0〜1個:作り直しは不要。現状のまま、部分的な改善で十分
- 2個:ページ追加や情報整理などの部分改修
- 3個以上:全面リニューアルを検討する段階
※ただし、③(検索からの流入がない)に当てはまる場合はページ設計の見直しが必要なため、1個でもリニューアルの検討対象になります
判断基準①|スマホで見づらい・表示が遅い
BtoBであっても、移動中や現場からスマートフォンで検索されます。文字が小さい、横スクロールが必要、画像が重くてなかなか表示されない。こうした状態では、内容以前に読んでもらえません。
判断基準②|自社で更新できない
更新のたびに制作会社へ依頼が必要な状態だと、費用と手間がかかるため、情報はどんどん古くなっていきます。更新できないサイトは、時間が経つほど価値が下がっていきます。
判断基準③|検索から人が来ていない
Googleサーチコンソールなどで確認したとき、社名以外のキーワードでの表示回数やクリックがほとんどない場合、検索という入口をまだ持てていない状態です。
この場合、デザインを新しくしても流入は増えません。どのキーワードで、どのページを見つけてもらうのかというページ設計そのものの見直しが必要になります。
判断基準④|技術や強みの情報が載っていない
会社概要と製品写真だけで、対応できる加工や材質、保有設備、品質管理体制が書かれていないケースは非常に多く見られます。発注側はこうした情報で候補を絞るため、載っていなければ検討対象から外れてしまいます。
判断基準⑤|問い合わせ導線が1本しかない
「お問い合わせフォーム」しか入口がないサイトは、まだ迷っている段階の人を取りこぼします。いきなり問い合わせるにはハードルが高いためです。
検討段階に合わせて複数の入口を用意することが、問い合わせ数を大きく左右します。
製造業のホームページリニューアルでよくある失敗3つ
リニューアルは、進め方を誤ると逆効果になります。実際に「リニューアルしたのに問い合わせが減った」「以前と変わらない」という相談は珍しくありません。代表的な3つを押さえておきましょう。
| 失敗 | 起きること | 本当の原因 |
|---|---|---|
| ①見た目だけ変える | きれいになったが問い合わせは同じ | 情報と導線を変えていない |
| ②ページを削る | 公開後にアクセスが激減する | 流入ページの削除・転送設定の漏れ |
| ③公開後に放置 | 数年でまた古いサイトに戻る | 運用体制を決めていない |
失敗①|デザインだけ新しくして問い合わせが増えない
最も多いのがこのパターンです。見た目はきれいになったのに、成果がまったく変わらない。理由は単純で、デザインは見た目の印象を変えるだけで、「何を伝えるか」「どこへ誘導するか」は変わっていないからです。
リニューアルで先に決めるべきは、デザインではなく、載せる情報と問い合わせまでの導線です。
失敗②|ページを削って検索流入が消える
これが最も見落とされやすく、影響が大きい失敗です。
「構成をすっきりさせたい」という理由で古いページを削除したところ、実はそのページこそが検索から人を集めていた、というケースがあります。また、URLが変わったのに旧URLから新URLへの転送設定(リダイレクト)が漏れると、それまで積み上げた検索評価がリセットされてしまいます。
リニューアル前に、必ず次の3点を記録しておきましょう。
- どのページに、どんなキーワードから人が来ているか
- 現在の検索順位と、月間のアクセス数・問い合わせ数
- 変更するURLの一覧と、旧URLからの転送計画
今あるものを把握しないまま作り直すのが、いちばん危険な進め方です。
失敗③|公開後に更新されず、また古くなる
公開がゴールになってしまい、1年後には情報が止まっているケースです。誰が、どの頻度で、何を更新するのか。ここを決めずに作ると、数年後にまた同じ悩みを繰り返すことになります。
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問い合わせを増やす製造業のWeb戦略3つ

ここからが本題です。リニューアルを問い合わせにつなげるために、製造業だからこそ効く3つの戦略を紹介します。
戦略①|発注者が「絞り込む条件」をすべて載せる
発注担当者は、印象ではなく条件で発注先をふるいにかけます。条件が書かれていないサイトは、その時点で候補から外れてしまいます。次の情報が載っているか確認してみてください。
| 載せるべき情報 | 書き方の例 |
|---|---|
| 対応できる加工 | 切削、板金、溶接、プレス、樹脂成形 など |
| 対応材質 | ステンレス、アルミ、チタン、樹脂 など |
| 対応サイズ・精度 | 最大加工寸法、対応できる公差の目安 |
| 保有設備 | 機種名と台数まで具体的に記載 |
| ロット | 試作1個から対応/量産のみ など |
| 納期 | 標準納期、短納期対応の可否 |
| 体制・認証 | ISO取得状況、検査体制、図面の対応形式 |
| 対応エリア | 全国対応/近隣中心 など |
これらは出し惜しみする情報ではなく、選ばれるための入場券です。具体的に書けば書くほど、条件の合う相手からの問い合わせが増え、条件の合わない問い合わせは減っていきます。
戦略②|加工事例・導入事例を「課題→対応→結果」で積み上げる
実績を写真だけで並べているサイトは多いのですが、それだけでは発注側の判断材料になりません。次の3ステップで書くだけで、伝わり方が大きく変わります。
- どんな課題・要望だったのか
- 自社がどう対応したのか(工夫した点、提案した点)
- どんな結果になったのか(納期短縮、コスト削減、歩留まり改善など)
事例は、増やすほど検索の入口も増えていきます。「材質+加工方法」「業界+部品名」といった具体的なキーワードで見つけてもらえるようになるためです。
丁寧に書かれた1件の事例は、そのまま1ページ分の営業資料になります。
戦略③|問い合わせの前に「軽い入口」を用意する
いきなり「お問い合わせ」だけでは、まだ検討中の人は動けません。相手の温度感に合わせた入口を並べておきましょう。
| 相手の検討段階 | 用意しておきたい入口 |
|---|---|
| 情報収集中 | 技術資料・カタログのダウンロード |
| 他社と比較中 | 加工事例集、対応表、よくある質問 |
| 検討が進んだ | 簡易見積もり、図面添付フォーム |
| ほぼ決まっている | 工場見学、担当者への直接相談 |
あわせて、フォームの入力項目も見直しましょう。会社名・担当者名・連絡先・相談内容の4項目程度が、最も答えやすく、問い合わせ率が上がりやすい形です。
製造業のホームページリニューアルの進め方と費用の目安
実際にリニューアルを進める場合、どんな順番で、どのくらいの費用がかかるのかを整理します。
リニューアルの進め方5ステップ
| ステップ | やること |
|---|---|
| ①現状分析 | アクセス数・検索順位・問い合わせ数を記録し、URL一覧を作る |
| ②目的とKPIの設定 | 「問い合わせを月◯件」など、数字で目標を決める |
| ③要件の整理 | 必要なページ、載せる情報、欲しい機能を書き出す |
| ④制作会社の選定 | 2〜3社に同じ条件で相談し、提案と見積もりを比較する |
| ⑤公開後の運用設計 | 更新担当・頻度・追加していくコンテンツを決める |
特に①を飛ばさないことが重要です。公開前の数字が残っていなければ、リニューアルが成功したのかどうかも判断できません。
ホームページリニューアルの費用の目安
費用はページ数、デザインの自由度、実装する機能、原稿や撮影を依頼するかどうかで大きく変わります。おおよその目安は次のとおりです。
| サイトの規模 | 費用の目安 |
|---|---|
| テンプレートを使った小規模サイト | 20〜50万円程度 |
| 標準的なコーポレートサイト | 50〜150万円程度 |
| 製品検索や多言語対応を含む大規模サイト | 150〜300万円以上 |
これに加えて、写真撮影や原稿作成を依頼する場合は別途費用がかかります。また、サーバー・ドメイン・保守などの運用費が毎月発生する点も、予算に含めて考えておきましょう。
なお、条件が合えばIT導入補助金や小規模事業者持続化補助金などを活用できる場合もあります。検討の初期段階で確認しておくと、予算の幅が広がります。
製造業のホームページリニューアルで失敗しない制作会社の選び方
- 製造業やBtoB企業の制作実績があるか(技術の理解度に直結します)
- 提案がデザインの話だけで終わっていないか(集客と導線の話が出てくるか)
- 公開後の運用・更新までサポートしてくれるか
- 見積もりの内訳が明確で、質問に丁寧に答えてくれるか
「安いから」という理由だけで選ぶと、結局は作り直しになり、総額では高くつきます。金額よりも、提案の中身と公開後の体制を見て判断しましょう。
製造業のホームページリニューアルを成功させる3ステップ
最後に、今日から実際に動ける順番に整理します。
ステップ①|現状の数字を確認する(今日できる)
- 直近1年の問い合わせ件数はどのくらいか
- 検索からの流入があるかどうか
- 自社サイトを実際にスマホで開いて確認する
数字が把握できていない場合は、「わからない」ということ自体が最初の課題の発見です。
ステップ②|判断基準をチェックし、課題を書き出す(今週できる)
この記事で紹介した5つの判断基準に照らして、当てはまる数を数えてみてください。あわせて、「今のサイトに載っていない情報」を箇条書きにします。
対応材質、保有設備、加工事例、品質管理体制。ここで書き出したものが、そのままリニューアルで作るページの原案になります。
ステップ③|目的とKPIを1枚に言語化する(今月できる)
「誰に、何を伝えて、どう行動してほしいのか」を1枚の紙にまとめます。これがあれば、制作会社との認識のズレも、社内での合意形成もぐっとスムーズになります。
この1枚があるかどうかで、リニューアルの成否はほぼ決まります。
まとめ|製造業のホームページリニューアルは「作り直し」ではなく「設計の見直し」
「リニューアル=デザインの刷新」ではなく、「リニューアル=伝える情報と導線の設計」。
問い合わせが増えるサイトほど、発注者が知りたい条件がきちんと整理され、迷わず次の行動に進める状態になっています。
対応材質、保有設備、加工事例、そして問い合わせまでの導線。すべての要素が、見た目の新しさではなく「相手が判断しやすいかどうか」を軸に組み立てられています。
大切なのは、作り直すことそのものではなく、自社の強みが正しく伝わる状態をつくること。
もし「リニューアルすべきか判断できない」「何から手をつければいいかわからない」と感じているなら、ぜひ弊社にご相談ください。
選ばれるホームページは、見た目ではなく設計で決まります。
Web周りの運用を全面サポート
この記事の内容を前提に、
実務レベルでどう整理すべきかの相談もお受けしています。
