実務の現場で実際によく起きる判断をもとに整理しています。
大学ホームページで資料請求が増えない理由とは?改善ポイントを徹底解説
「大学のホームページはきちんと作ったのに、資料請求の数が伸びない」
「アクセス数はそれなりにあるのに、なぜ問い合わせにつながらないのだろう」
「Web施策の記事を読んでも、結局どこから手をつければいいのかわからない」
大学の広報担当者や入試課の方から、こうした声をよく聞きます。
もし同じように感じているなら、それはサイトのデザインが古いからでも、掲載している情報が足りないからでもありません。
大学ホームページの集客で資料請求が増えないのは、「訪れた受験生を資料請求まで運ぶ設計」が抜け落ちているだけです。
本記事では、大学ホームページの集客で資料請求が増えない理由と、その改善ポイントを、Webにくわしくない方でも読み進められるように順を追って解説します。専門用語はできるだけ噛み砕いてお伝えします。
読み終える頃には、「自校のサイトのどこを、どの順番で直せばいいのか」が明確になっているはずです。
目次
大学ホームページの集客が難しくなっている背景とは?
改善策の前に、大学が置かれている状況を数字で確認しておきましょう。ここを共有しておくことで、後半の施策の優先順位が判断しやすくなります。
背景①|18歳人口の減少と大学間競争の激化
日本私立学校振興・共済事業団の「令和7(2025)年度 私立大学・短期大学等 入学志願動向」によると、私立大学594校のうち316校が入学定員を満たせていません。割合にして53.2%、半数を超える私立大学が定員割れの状態です。
一方で、この数字は前年度から改善しています。
| 項目 | 2024年度 | 2025年度 |
|---|---|---|
| 定員未充足校の割合 | 59.2% | 53.2% |
| 入学定員充足率 | 98.19% | 101.61% |
ただし、この改善を「競争がゆるんだ」と読むのは危険です。同事業団は改善の要因として、18歳人口が一時的に増加したことと、募集停止などにより入学定員そのものが22年ぶりに減少したことを挙げています。そして令和9年度には18歳人口が再び減少に転じる見通しが示されています。
つまり、いまは一時的な小休止にすぎません。学生募集の工夫が不要になったわけではないのです。
出典:日本私立学校振興・共済事業団「令和7(2025)年度 私立大学・短期大学等 入学志願動向」
背景②|受験生の「最終判断」はホームページで下される
受験生が大学を知るきっかけは、SNSや動画、高校の先生からの勧め、進学情報サイトなど多岐にわたります。しかし、そこで気になった大学について「本当に自分に合うのか」を確かめる段階になると、多くの受験生は公式ホームページに戻ってきます。
役割を整理すると、こうなります。
- SNS・動画・広告:大学を知ってもらう「入口」
- 進学情報サイト・ポータル:他大学と並べて比較される「棚」
- 公式ホームページ:志望するかを決める「最終判断の場」
入口をいくら広げても、最終判断の場が整っていなければ受験生は静かに離脱します。大学ホームページの集客は、Web施策全体の受け皿にあたる部分なのです。
背景③|本当の課題は「集客」ではなく「取りこぼし」
ここが本記事の出発点です。
大学の集客について書かれた記事は数多くありますが、その大半は「オープンキャンパス」「SNS」「Web広告」「動画」といった集客手法を並べるだけで終わっています。
しかし、多くの大学が実際にぶつかっているのは、次のような壁ではないでしょうか。
- アクセス数自体は前年と大きく変わらない
- それなのに資料請求やオープンキャンパス申込だけが伸びない
- 広告を止めると数字がそのまま落ちる
これらは「人が来ていない」だけでは説明がつきません。大学ホームページの集客は「入口を広げること」と「来た人を取りこぼさないこと」の2つに分けて考える必要があります。
そして多くの大学で手つかずになっているのが、後者の「取りこぼさないこと」です。次章では、入口側・受け皿側の両方から原因を分解していきます。
大学ホームページの集客で資料請求が増えない5つの理由
資料請求が増えない原因は、大きく5つに整理できます。自校に当てはまるものがないか、チェックしながら読んでみてください。
理由①|検索で見つけられていない
5つのうち、これだけが「入口側」の問題です。そもそもサイトに来てもらえていないケースを指します。
受験生が大学名を知っていれば、指名検索で公式サイトにたどり着きます。しかし、まだ大学名を知らない層は「学部名+地域」「なりたい職業+大学」「取りたい資格+大学」といった言葉で検索します。
この2つの検索は、性質がまったく違います。
| 指名検索 | 非指名検索 | |
|---|---|---|
| 検索例 | 「○○大学 資料請求」 | 「心理学 学べる大学」 |
| 検索する人 | すでに大学を知っている層 | まだ大学を知らない層 |
| ボリューム | 限られている | 指名検索の何倍もある |
| 対策の必要度 | 低い (公式サイトが上位に出やすい) | 高い (専用ページがないと表示されない) |
大学名を含まない検索に自校のページが対応していないと、そもそも認知の入口に立てません。学部紹介ページが「学部の理念」と「カリキュラム表」だけで構成されている大学は、ここを大きく取りこぼしています。
受験生が知りたいのは「その学部の理念」よりも先に、「そこで学ぶと自分は何になれるのか」です。検索する言葉も、当然そちらに寄ります。
理由②|スマホでの閲覧体験が受験生の基準に届いていない
高校生の情報収集はほぼスマートフォンで完結します。それにもかかわらず、大学サイトはPC前提で設計されたまま更新されていないケースが少なくありません。
- 文字が小さく、拡大しないと読めない
- PDFに飛ばされ、スマホでは読みづらい
- 表が横にはみ出す
- ボタンが小さく、指で押しにくい
受験生は「見づらい」と感じた瞬間にページを閉じます。理由を説明してくれることはありません。
理由③|資料請求までの導線が深すぎる
大学サイトは、受験生・在学生・保護者・研究者・企業・卒業生と、対象がきわめて多様です。その結果、情報量が膨らみ、資料請求ボタンが階層の奥に埋もれてしまいます。
「トップ → 入試情報 → 入試案内 → 資料請求」のように4階層も進まなければたどり着けない構造では、途中で離脱するのが自然です。
さらに厄介なのは、受験生が資料請求を思いつく場所が「トップページ」ではないことです。多くの場合、興味を持つのは学部紹介ページや在学生インタビューを読んでいる途中です。
その瞬間、近くに資料請求への入口がなければ、受験生はわざわざトップページまで戻ってくれません。導線は「サイト全体で1本」ではなく、「興味が生まれる場所ごとに用意する」ものだと考えてください。
理由④|フォームの入力項目が多く離脱している
資料請求ページまでたどり着いた受験生が、最後に離脱する場所がフォームです。
- 住所を細かく分割して入力させる
- 希望学部を必須にしている(まだ決まっていない層が多い)
- 保護者情報や高校名まで必須にしている
- アンケート項目が長い
フォームに到達した人は、興味を持ってくれた最も貴重な層です。ここでの1項目の削減は、費用をかけずに資料請求数を押し上げられる数少ない打ち手です。
理由⑤|「資料を請求する理由」が伝わっていない
意外と見落とされるのがこれです。デジタルパンフレットがサイト上で見られる時代に、あえて紙の資料を請求してもらうには、それだけの動機が必要です。
「資料請求はこちら」というボタンだけでは、受験生は行動しません。何が届くのか、Webでは見られない情報が入っているのか、いつ届くのか。これらが示されていないと、請求という手間を払う理由が生まれないのです。
症状から原因を切り分ける早見表
| 症状 | 疑うべき原因 | 確認方法 |
|---|---|---|
| アクセス自体が少ない | 理由① | 検索経由の流入数と検索キーワード |
| 直帰率が高い | 理由② | スマホでの表示・ページ表示速度 |
| 資料請求ページのPVが少ない | 理由③ | 各ページからの遷移数 |
| 資料請求ページに来るが送信されない | 理由④ | フォーム到達数と送信完了数の差 |
| 全体的に反応が薄い | 理由⑤ | 資料請求ページの掲載内容 |
原因が違えば打つ手も変わります。まずは自校がどこで詰まっているのかを見極めることが先です。
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大学ホームページの集客を改善する5つの施策

ここからは、前章の理由に1対1で対応する改善施策を紹介します。
施策①|受験生の検索行動から逆算してキーワードを設計する
大学名で検索されるのを待つのではなく、大学名を知らない層が使う言葉に合わせてページを用意します。
- 学問系:「心理学 学べる大学 関西」
- 職業系:「管理栄養士 なるには 大学」
- 資格系:「社会福祉士 受験資格 大学」
- 地域系:「栃木 経済学部 私立」
こうしたキーワードに対して、学部紹介ページとは別に「この分野を学ぶとどんな進路があるか」を解説するページをつくると、認知の入口が一気に広がります。
ページの中身は、次の順番で構成すると受験生の疑問に沿った流れになります。
- その職業・資格はどんな仕事なのか
- なるためにはどんな学びが必要なのか
- 自校のどの学部・学科がそれに対応しているのか
- 実際に進んだ卒業生の事例
- 資料請求への案内
いきなり自校の宣伝から始めないことがポイントです。まず受験生の疑問に答え、その解決策として自校を提示する流れにすると、最後の資料請求まで自然につながります。
施策②|スマホファーストで情報を組み替える
デザインの刷新まで踏み込まなくても、次の3点だけで体験は大きく改善します。
- PDFのみで公開している重要情報をHTMLページ化する
- 表は縦スクロールで読める形に整える
- ボタンを指で押せるサイズに拡大する
とくにPDFのHTML化は効果が高い一方で、着手されていない大学が多い領域です。PDFはスマホでの読みづらさに加えて、検索エンジンにも内容が伝わりにくいという弱点があります。入試日程や学費といった検索されやすい情報がPDFの中に閉じ込められていないか、一度確認してみてください。
施策③|資料請求までの導線を2クリック以内に短縮する
目安は「どのページからでも2クリック以内で資料請求にたどり着ける」状態です。
- スマホ画面下部に固定バナーを常時表示する
- 学部紹介ページの本文末に個別のCTAを置く
- グローバルナビゲーションに独立して配置する
受験生が「気になった」と感じた瞬間の近くにボタンがあることが重要です。
施策④|フォームの入力項目を絞り込む
フォーム改善は、費用がほとんどかからないのに効果が出やすい施策です。
| 項目 | 推奨する扱い | 理由 |
|---|---|---|
| 氏名・郵便番号・住所 | 必須 | 発送に必要 |
| メールアドレス | 必須 | その後の案内に使える |
| 希望学部 | 任意 | 未決定層を弾いてしまう |
| 高校名・学年 | 任意 | 入力の負担が大きい |
| アンケート | フォームから外す | 離脱要因。送信完了ページに置く |
郵便番号からの住所自動入力を入れるだけでも、入力の手間はかなり減ります。
施策⑤|資料の中身を先に見せて請求動機をつくる
資料請求ページには、次の情報を必ず載せてください。
- 届く資料の一覧(大学案内・学部別パンフ・入試要項など)
- 実際の中身がわかる写真や見開きイメージ
- Webでは公開していない情報があればその明示
- 発送までの目安日数
- 送料が無料か有料か
とくに送料の記載は重要です。有料であることを隠していると、フォームの最後で気づかれて離脱につながります。逆に無料であれば、それは強い後押しになります。
「デジタルパンフレットで見られるのに、なぜ紙で請求するのか」という問いに、大学側が答えを用意しておくこと。それが請求動機の設計です。
施策の優先順位
| 施策 | 難易度 | 効果の速さ | 主な担当 |
|---|---|---|---|
| ④フォーム改善 | 低 | 速い | 広報・制作会社 |
| ⑤請求動機づくり | 低 | 速い | 広報・入試課 |
| ③導線短縮 | 中 | 速い | 制作会社 |
| ②スマホ最適化 | 中 | 中 | 制作会社 |
| ①キーワード設計 | 高 | 3〜6ヶ月 | 広報・外部支援 |
まず④⑤から着手し、SEOは並行して仕込むのが最短ルートです。
大学ホームページの集客でやりがちな失敗パターン3つ
取り組む前に知っておくと、遠回りを避けられます。
失敗①|施策を並べるだけで優先順位をつけていない
予算と人手には限りがあります。それにもかかわらず、SNSも動画も広告もリニューアルも同時に走らせ、どれも中途半端に終わるケースが多く見られます。
判断基準はシンプルです。受け皿(フォームと導線)を整えてから、入口(広告とSEO)を広げる。この順番を逆にすると、増やした流入がそのまま漏れていきます。
失敗②|リニューアルがゴールになっている
サイトリニューアルは手段であって目的ではありません。「公開したら終わり」で運用体制がないままだと、数年後に同じ悩みを繰り返します。
また、大学サイトのリニューアルは学内の関係部署が多く、要望を集めるだけで議論が長期化しがちです。その過程で「誰に何を届けるサイトなのか」という軸がぼやけ、結果として情報を並べただけのサイトになってしまうケースも少なくありません。
公開後に何をどの頻度で見直すのか、そして最優先ターゲットは誰なのかを、計画段階で決めておくことが重要です。
失敗③|資料請求数を計測していない
意外に多いのがこれです。資料請求の総数は把握していても、「どのページを経由した人が請求したのか」までは追えていない大学が少なくありません。
計測がなければ、改善したかどうかも判断できません。改善の第一歩は、施策ではなく計測の整備です。
大学ホームページの集客改善を進める3ステップ
最後に、実際に取り組む順番を整理します。
ステップ①|現状を数値で把握する(今週できる)
- 資料請求の完了をコンバージョンとして計測設定する
- 資料請求ページへの流入元ページを確認する
- スマートフォンとPCの比率を確認する
- フォーム到達数と送信完了数の差を出す
この4つがわかれば、5つの理由のうちどこで詰まっているかがほぼ特定できます。難しいツールは不要で、Googleアナリティクスとサーチコンソールがあれば足ります。
もし現時点でコンバージョン計測が設定されていないなら、まずそこから始めてください。ここを飛ばして施策に着手すると、効果があったのかどうかを永久に判断できないまま予算を使い続けることになります。
ステップ②|導線とフォームを直す(今月できる)
- フォームの必須項目を見直す
- 資料請求ページに資料の中身を掲載する
- スマホ固定バナーを設置する
- 学部紹介ページの末尾にCTAを追加する
大規模な改修を伴わないため、既存サイトのままでも着手できます。
ステップ③|コンテンツを増やして入口を広げる(3〜6ヶ月)
- 受験生の検索キーワードを洗い出す
- 学問・職業・資格ごとの解説ページをつくる
- 各ページから資料請求への導線をつなぐ
- 月次で順位と流入を確認し、改善を続ける
SEOは成果が出るまで時間がかかりますが、一度積み上がれば広告費をかけずに流入が続く資産になります。
まとめ|大学ホームページの集客は「見た目」ではなく「導線」で決まる
「集客=もっと多くの人を集めること」だけではありません。「すでに来ている人を取りこぼさないこと」も、同じくらい集客です。
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大切なのは、サイトを豪華に作り替えることではなく、受験生が資料請求に至るまでの一本の道筋を通すことです。
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